- 隠れた通変星から、内に秘めた性質がわかる
- 中身の五行から、日干の根の強さがわかる
- 月支の蔵干から、生まれた季節の気がわかる
GENTEN SUIMEIDO JOURNAL
四柱推命の蔵干とは?地支に隠れた天干の意味と一覧、見方をやさしく解説
四柱推命の蔵干とは
四柱推命の蔵干(ぞうかん)とは、地支の中に隠れている天干のことです。命式の下の段に並ぶ十二支は、それぞれ1〜3個の十干を「中身」として持っています。命式を出したとき、十二支の下に小さく書かれている文字がこれにあたります。
4本の柱の干支は、上の文字が天干、下の文字が地支です。上の段が表に出ている顔なら、下の段はその人を取り巻く環境。蔵干は、その環境の奥にしまわれた本音のようなものです。
まずここだけ
地支は「箱」、蔵干は「中身」です。箱ごとに入っている十干は決まっていて、人によって変わることはありません。十二支は動物の記号である前に、季節の一区切りを表す文字です。
その季節に働いている気を、十干の文字で書き表したものが蔵干です。原典『淵海子平』は、十二支に隠れたものを「人元」と呼んでいます。天干を天、地支を地とする、天・地・人の「人」にあたる層です。
四柱推命では、命式の8文字に蔵干を加えて読むのが基本です。8文字の干支だけでは見えない奥行きを、この隠れた層が補ってくれるからです。四柱推命そのものの仕組みは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
-
-
四柱推命とは?生年月日から何がわかるのか、900年前の原典が語る仕組みをやさしく解説
四柱推命とは 四柱推命とは、生年月日と生まれた時間を暦の文字(干支)に置き換え、そこに並ぶ8つの文字の関係から、その人の性質と運勢の流れを読む占いです。中国で生まれ、日本でも長く親しまれてきた占いで、 ...
続きを見る
天干の基本は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
-
-
四柱推命の天干とは?十干(甲・乙・丙…)の読み方と意味をやさしく解説
四柱推命の天干とは 四柱推命の天干(てんかん)とは、命式の上の段に並ぶ4つの文字のことです。文字は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種類です。この10文字をまとめて十干(じっかん)と呼びます ...
続きを見る
十二支それぞれの意味は、こちらの記事でどうぞ。
-
-
四柱推命の地支とは?十二支の意味と季節の関係、動物との違いをやさしく解説
地支とは 地支(ちし)とは、子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥の12文字のことです。つまり、おなじみの十二支です。四柱推命では、命式の下の段に並ぶ4文字がこの地支にあたります。 年賀状の「 ...
続きを見る

蔵干でわかること
蔵干を見ると、表の8文字だけでは見えない性質や力のありかがわかります。「本当の性格は奥にある」という話をするとき、四柱推命では蔵干を見ます。主な使い道は、次の3つです。
1. 内に秘めた性質(通変星の出どころ)
日干と蔵干を比べると、通変星(十神)が出ます。通変星とは、日干から見た他の文字との関係を10種類に分けた星です。上の段の通変星が表の性格なら、蔵干の通変星は内に秘めた性質を映します。
2. 命式の強さ
日干と同じ五行や、日干を助ける五行が蔵干にどれだけあるかを見ます。これで日干が足元に「根」を張っているかがわかります。根が多い命式は力強く、少ない命式は周りの影響を受けやすい傾向です。
たとえば日干が甲で、日支が寅の人。寅の本気は甲なので、自分と同じ木の気が足元にしっかり根を張っている形です。
3. 生まれた季節の気
生まれ月の地支(月支)の蔵干は、生まれた季節の気そのものです。命式全体の土台として、ほかの柱の中身より重く見ます。
通変星の種類と意味は、こちらの記事でまとめています。
-
-
四柱推命の十神(通変星)とは?正官・傷官など10の星の意味と決まり方
四柱推命の十神とは 四柱推命の十神(じっしん)とは、日干から見たほかの天干との関係に付けた10の名前です。日本では通変星(つうへんせい)とも呼ばれます。正官・偏官・印綬・偏印・正財・偏財・食神・傷官・ ...
続きを見る

蔵干の一覧と、余気・中気・本気
十二支それぞれの蔵干を一覧にすると、次のとおりです。原典推命堂は、原典『淵海子平』の歌に沿ったこの表を使っています。
| 地支 | 余気 | 中気 | 本気 |
|---|---|---|---|
| 子 | — | — | 癸 |
| 丑 | 癸 | 辛 | 己 |
| 寅 | 戊 | 丙 | 甲 |
| 卯 | — | — | 乙 |
| 辰 | 乙 | 癸 | 戊 |
| 巳 | 戊 | 庚 | 丙 |
| 午 | — | 己 | 丁 |
| 未 | 丁 | 乙 | 己 |
| 申 | 戊 | 壬 | 庚 |
| 酉 | — | — | 辛 |
| 戌 | 辛 | 丁 | 戊 |
| 亥 | — | 甲 | 壬 |
本気(ほんき)は、その十二支と同じ五行を持つ最も強い蔵干です。余気(よき)は前の季節の名残、中気(ちゅうき)は余気と本気のあいだを埋める気です。表を眺めると、蔵干の顔ぶれには次のような特徴があります。
子・卯・酉は中身が1つ
子は癸、卯は乙、酉は辛です。春夏秋冬のまっただ中にあたる支なので、中身は混じりけのない1つです。同じ位置にある午だけは、丁と己の2つを持っています。
丑・辰・未・戌は中身が3つ
季節の変わり目(土用)にあたる4つの支は、本気の土に、過ぎた季節の名残などが混ざります。たとえば辰は、春の乙と水の癸、そして土の戊を持っています。
寅・巳・申・亥は次の芽を含む
春夏秋冬の始まりにあたる支には、先の季節につながる十干が入っています。亥(冬)の中には、春の木である甲があります。冬の水の中に、春の芽が隠れているという見立てです。

蔵干は節入りからの日数で変わる?調べ方
蔵干の調べ方の基本は、命式の4つの地支を、上の一覧表に当てはめることです。年支・月支・日支・時支、それぞれの蔵干を書き出します。
ただし、蔵干が3つある支では、どれを代表にするかという問題が出てきます。そこで使われるのが、節入りからの日数です。節入りとは、立春や啓蟄のように暦の上で月が切り替わる日のことです。
月の初めは余気、次に中気、残りの日は本気が「当番」を務める、という考え方です。原典の表では、寅の月は戊が7日、丙が7日、甲が16日ほど。月日が進むにつれて、当番の十干が交代していくのです。
この日数で代表の蔵干を1つ選ぶ見方では、同じ寅の月生まれでも、節入り直後と月末で代表が変わります。原典では「月律分野之圖」という表がこの日数を示しています。原典推命堂がこの日数をどう扱うかは、最後の章で紹介します。
1つだけ見るなら本気から
代表を1つに絞るなら、まずは本気を見るのが基本です。本気はその支と同じ五行で、1か月のうち最も長く当番を務める十干だからです。余気と中気は、慣れてきてから添えて見れば十分です。
やってみると早い
暦から4本の柱を出し、蔵干を一つずつ書き出すのは手間がかかります。無料で命式を出せるツールなら、一覧表どおりの蔵干まで一度に表示されます。自分の命式で確かめたい方は、無料鑑定で試してみてください。
月が節入りで切り替わる仕組みは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
-
-
四柱推命の節入りとは?1月生まれは前年生まれ?立春で年が変わる理由
四柱推命の節入りとは 節入り(せついり)とは、二十四節気のうち「節」にあたる日の、その節が始まる瞬間のことです。四柱推命では、この節入りを境に月の干支が切り替わります。カレンダーの1日ではありません。 ...
続きを見る

原典『淵海子平』に書かれた蔵干の歌
実は原典『淵海子平』には、蔵干を扱った歌や表が4つ収められています。中身を歌った「地支藏遁歌」と、当番の日数を示す「月律分野之圖」「節気歌」、それに節気ごとの当番を歌う「論天地干支暗藏總訣」です。まずは藏遁歌から見てみましょう。
十二支それぞれに隠れている十干を歌う
漢文原文
子宮癸水在其中,丑癸辛金己土同,寅宮甲木兼丙戊,卯宮乙木獨相逢,辰藏乙戊三分癸,巳中庚金丙戊叢,午宮丁火并己土,未宮乙己丁共宗,申位庚金壬水戊,酉宮辛金獨豐隆,戌宮辛金及丁戊,亥藏壬甲是真蹤。
書き下し文
子の宮は癸水其の中に在り、丑は癸・辛金・己土同じくす。寅の宮は甲木、丙戊を兼ね、卯の宮は乙木独り相ひ逢ふ。辰は乙・戊・三分の癸を蔵し、巳の中は庚金・丙・戊叢まる。午の宮は丁火に己土を并せ、未の宮は乙・己・丁共に宗とす。申の位は庚金・壬水・戊、酉の宮は辛金独り豊隆なり。戌の宮は辛金及び丁・戊、亥は壬・甲を蔵す、是れ真の蹤なり。
現代語訳
子には癸水。丑には癸・辛・己。寅には甲に加えて丙と戊。卯には乙だけ。辰には乙・戊と少しの癸。巳には庚・丙・戊。午には丁と己。未には乙・己・丁。申には庚・壬・戊。酉には辛だけが満ちている。戌には辛・丁・戊。亥には壬と甲が隠れている。
上の一覧表は、この歌をそのまま表にしたものです。中身が1つの卯と酉には「独り」という字を添え、ほかと歌い分けています。「藏遁」の遁は「隠れる」という意味で、十二支に隠れた十干の歌という名前です。
3つ目の節気歌は、月の中で当番が交代する日数を歌にしたものです。面白いのは冒頭で、蔵干より先に日主(日干)を見なさいと念を押しているところです。
まず日主を見よ。月の中で当番の十干が替わる
漢文原文
看命先須看日主,八字始能究奧理。假如子上十日壬,中旬下旬方是癸。丑宮九日癸之餘,除卻三辛皆屬己。寅宮戊丙各七朝,十六甲木方堪器。
書き下し文
命を看るには先づ須らく日主を看るべし、八字始めて能く奥理を究む。仮如へば子の上は十日壬、中旬・下旬は方に是れ癸なり。丑の宮は九日癸の余り、三の辛を除却して皆な己に属す。寅の宮は戊・丙各々七朝、十六の甲木方に器に堪ふ。
現代語訳
命を見るにはまず日主を見なさい。そうして初めて八字の奥深い道理が分かる。たとえば子月は初めの 10 日が壬、中旬・下旬は癸。丑月は 9 日が癸の名残、3 日の辛を除けば残りは己。寅月は戊と丙がそれぞれ 7 日、残り 16 日の甲が本領を発揮する。
この歌の結びには「須知得一擬三分」という一句もあります。蔵干は1つあっても三分ほどに見積もれ、つまり天干1つ分より弱く見ておけ、とも読める句です。奥にしまわれた力なので、天干に同じ字が出たときに本領を発揮する。現代の読み方にもつながる考え方です。
小話月律分野之圖の「月律」は、音楽の十二律(12の音の高さ)のことです。図には太簇(たいそう)・夾鐘(きょうしょう)といった音の名前が並び、月と音階が対応しています。暦の月と音楽を重ねて考えるのは、古い中国の書物らしい発想です。

原典と現代の蔵干、ここが違う
四柱推命の蔵干を調べると、本やサイトによって表が少しずつ違うことに気づきます。子の蔵干を癸だけとする表もあれば、壬と癸の2つとする表もあります。流派の違いに見えますが、出どころはもっと手前にあります。
違いの出どころは原典の中にある
「子は癸だけ」も「子には壬もある」も、どちらも原典に書かれています。藏遁歌は中身を、月律分野之圖は当番の日数を扱い、別の話をしています。流派の差に見えるものの多くは、この2つの使い分けの差です。
たとえば日数を重んじる流派の表では、子の月の初め10日ほどは壬を立てます。「いつ当番か」の層を表に持ち込むかどうかで、見た目の違いが生まれます。
原典はどれが正しいかを決めていない
原典は4つの歌と表を並べて載せるだけで、どれを正の表とするかは明言していません。月律分野之圖の日数には、月によって合計が揃わない箇所もあります。数字の厳密さより、季節とともに当番が交代するという考え方を示した記述です。
原典推命堂の採用規則
原典推命堂は、中身は藏遁歌で決め、当番の日数は強弱の配分に使わない方針です。日数の層には異説が含まれ、中身の表のほうが命式に安定して載せられるからです。
命式には、一覧表どおりの蔵干をすべて表示します。蔵干が気になり始めたら、まず自分の4つの地支の中身を書き出してみるところから始めてみてください。