- 年干:年柱の天干。家系や育った環境、第一印象
- 月干:月柱の天干。社会での顔や仕事ぶり
- 日干:日柱の天干。あなた自身
- 時干:時柱の天干。内に秘めた面や人生の後半
GENTEN SUIMEIDO JOURNAL
四柱推命の天干とは?十干(甲・乙・丙…)の読み方と意味をやさしく解説
四柱推命の天干とは
四柱推命の天干(てんかん)とは、命式の上の段に並ぶ4つの文字のことです。文字は甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種類です。この10文字をまとめて十干(じっかん)と呼びます。
命式は、生まれた年・月・日・時刻を暦の文字に置き換えた表です。年柱・月柱・日柱・時柱の4本の柱が、それぞれ上下2文字でできています。上の文字が天干、下の文字が地支で、合わせて8文字です。
名前のとおり、天干は「天の気」、地支は「地の気」を表すとされます。上の段は外から見える性質や考え方、下の段は環境や土台にあたります。
まずここだけ
十干の1文字ごとに、五行(木・火・土・金・水)と陰陽が決まっています。つまり十干は、五行5種と陰陽2種を掛け合わせた10通りです。「あなたは甲の人」と言われたら、それは「木の陽」の人という意味です。
命式の全体像や四柱推命の成り立ちは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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天干でわかること
命式には天干が4つあり、どの柱の天干かで意味が変わります。4つの天干は、それぞれ次のように呼ばれます。
表に出る性格と考え方
天干は、その人の性格のうち、周りから見える面を表します。話し方や決め方、物事への向き合い方といった部分です。
四柱推命では、天干に出ている五行が、その人らしさとして表に出やすいと考えます。たとえば命式の上の段に火の天干が多ければ、明るく目立つ面が出やすい、という具合です。
一方で、天干だけで性格を決めつけることはしません。四柱推命では、下の段の地支や生まれ月の季節と合わせて、命式全体の中で天干の出方を見ます。
日干は命式の主人公
4つの中で最も大切なのが日干です。四柱推命では日干を「自分自身」と置き、ほかの7文字との関係を見ていきます。性格の芯をつかむときも、まずこの1文字から始めます。
日干の調べ方と、10種類それぞれの性格は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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残りの天干は日干との関係で見る
年干・月干・時干は、日干から見てどんな関係にあるかで意味が決まります。この関係に付けた名前が通変星(十神)です。
たとえば日干が甲で月干が庚なら、庚(金)は甲(木)を抑える関係です。この場合、月干の庚は「偏官」という通変星です。同じ庚でも、日干が違えば別の通変星に変わるのが面白いところです。
天干どうしの結びつき
天干には、甲と己、乙と庚のように引き合う組み合わせもあります。これを干合と呼び、相性を見るときの手がかりの一つです。
下の段の地支との役割分担
天干が「表に出る性質」なら、地支はその人を支える土台や季節です。地支は季節の一区切りを表すので、天干と地支を合わせて見ると、人柄の輪郭がはっきりします。
地支の意味と読み方は、こちらの記事で紹介しています。
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十干の読み方と意味
十干には、日本の「きのえ・きのと」という読み方と、音読みの「こう・おつ」があります。どちらで呼んでも、指す文字は同じです。
| 十干 | 読み方(訓/音) | 五行 | 陰陽 | 季節・方位 | よく使うたとえ |
|---|---|---|---|---|---|
| 甲 | きのえ/こう | 木 | 陽 | 春・東 | 大木 |
| 乙 | きのと/おつ | 木 | 陰 | 春・東 | 草花 |
| 丙 | ひのえ/へい | 火 | 陽 | 夏・南 | 太陽 |
| 丁 | ひのと/てい | 火 | 陰 | 夏・南 | 灯火 |
| 戊 | つちのえ/ぼ | 土 | 陽 | 土用・中央 | 山 |
| 己 | つちのと/き | 土 | 陰 | 土用・中央 | 田畑 |
| 庚 | かのえ/こう | 金 | 陽 | 秋・西 | 鉄・刀 |
| 辛 | かのと/しん | 金 | 陰 | 秋・西 | 宝石 |
| 壬 | みずのえ/じん | 水 | 陽 | 冬・北 | 海・大河 |
| 癸 | みずのと/き | 水 | 陰 | 冬・北 | 雨・霧 |
「え」は兄、「と」は弟
訓読みの「え」は兄、「と」は弟のことです。「きのえ」は木の兄=木の陽、「きのと」は木の弟=木の陰を指します。「えと(干支)」という言葉も、この兄と弟の組み合わせが語源です。
五行と季節の対応
十干は、2文字ずつ一つの五行と季節に割り振られています。甲乙は木で春、丙丁は火で夏、庚辛は金で秋、壬癸は水で冬です。
残る戊己は土で、季節の変わり目の「土用」にあたります。方位では中央に置かれ、春夏秋冬をつなぐ役を持ちます。
陽干と陰干の出方
同じ五行でも、陽干は外に向かって大きく広がり、陰干は内に向かって細やかに働くとされます。性格でいえば、甲は押しの強さ、乙は粘り強さ、という違いです。
陰干は弱い、という意味ではありません。同じ木の性質が、違う形で表に出るだけです。四柱推命の性格の見方では、陽と陰は強さではなく向きの違いです。
身近に残る十干
十干は、今の暮らしにも残っています。契約書の「甲・乙」や、成績の「甲乙丙丁」がその例です。
甲子園球場の名前も、完成した1924年が甲子(きのえね)の年だったことに由来します。十干と十二支を組み合わせた60通りの干支は、今も暦の上を巡っています。
五行どうしが助け合ったり抑え合ったりする仕組みは、こちらの記事で紹介しています。
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原典『淵海子平』が語る十干の字義
四柱推命の基本テキストとされる『淵海子平』は、十干と十二支は天から授かったものだと語ります。黄帝という伝説の帝王が天を祭ると、天が十干と十二支を降したという神話です。
黄帝は十干を丸く並べて天をかたどり、十二支を四角く並べて地をかたどりました。「天干・地支」という呼び名は、この「干を天、支を地とする」話につながっています。
原典はさらに、黄帝の後に現れた大撓氏(だいとうし)が、十干と十二支を60の干支に組み立てたと伝えています。原典の中では、干支の暦そのものが神話から始まっています。
では、10の文字はそれぞれ何を意味するのでしょうか。原典は、一文字ずつ字の意味(字義)を説明しています。
十干は、万物が芽吹いて実り、次の命を宿すまでの段階
漢文原文
甲者,坼也,言萬物剖符甲而出也。(中略)乙言萬物初生曲孽而未伸也。丙言萬物炳然著見。丁言萬物壯實之形。(中略)戊,茂也,言物之茂盛。(中略)己,紀也,言物有形,可紀識也。庚,堅強貌,言物收斂而有實也。辛,言萬物方盛而見制,故辛痛也。壬,妊也,陰陽之交,言物懷妊至子而萌也。癸者,冬時土既平,萬物可揆度也。
書き下し文
甲とは坼なり、万物符甲を剖きて出づるを言ふ。(中略)乙は万物初めて生じ曲孽して未だ伸びざるを言ふ。丙は万物炳然として著見するを言ふ。丁は万物壮実の形を言ふ。(中略)戊は茂なり、物の茂盛を言ふ。(中略)己は紀なり、物形有りて紀識すべきを言ふ。庚は堅強の貌、物収斂して実有るを言ふ。辛は万物方に盛んにして制せらるるを言ふ、故に辛痛なり。壬は妊なり、陰陽の交、物妊を懐きて子に至りて萌すを言ふ。癸とは冬時土既に平らかにして、万物揆度すべきなり。
現代語訳
甲は殻を割って芽が出ること。(中略)乙は生まれたばかりで曲がってまだ伸びていないこと。丙は明るくはっきり姿を現すこと。丁はたくましく実った形。(中略)戊は茂り盛んなこと。(中略)己は形ができて見分けがつくこと。庚は固く締まって実を持つこと。辛は盛りのさなかに抑えられること、だから「つらい」の意味。壬は身ごもること、陰陽が交わって身ごもった命が、子(冬至の月)に至って芽生えること。癸は冬に土がならされ、万物をはかれる状態。
読んでみると、甲から癸までが、一本の草木の一生になっています。殻を破って芽を出し(甲)、曲がりながら伸び(乙)、姿を現して(丙)、実っていく(丁)。
茂って(戊)形が整い(己)、固く締まって実を結ぶ(庚)。盛りのさなかに抑えられ(辛)、次の命を宿し(壬)、冬の静けさへ戻る(癸)。十干は、春に芽吹いて冬に休む、一年の巡りそのものを10文字で描いています。
原典は、辛を「辛い(つらい)」の字に結びつけて説明しています。盛りのさなかに抑えられる段階だから、という理由です。

原典と現代の天干、ここが違う
現代の解説と原典を並べると、十干の説明の仕方に違いがあります。ここでは3つの点を取り上げます。
自然物のたとえは巻四に、字義は巻一に
丙=太陽、丁=灯火のような自然物のたとえは、原典巻四「十干體象」の詩にも出てきます。ただし甲は、詩では大木ではなく、切り出して棟や梁にする材木として詠まれています。戊も山ではなく、川や海を支える城壁や堤防です。一方、巻一「論干支字義」(十干と十二支の字義の節)は、十干を草木が育つ段階で説明します。
ただし、たとえから性格の型を決める読み方は原典にありません。原典推命堂では、自然物のたとえを入口に使い、字義を根拠として添えます。
陰干が劣るという記述はない
「陽は強く、陰は弱い」と受け取られることがあります。けれども原典に、陰陽を優劣とする記述はありません。
原典推命堂では、陽干と陰干を「出方の違い」として扱います。乙の粘り強さも、甲の押しの強さも、同じ木の持ち味です。
「戊己は調整役」には原典の根拠がある
現代では、土の天干である戊・己を「受け止め役」「調整役」と説明することがあります。これには原典の裏づけがあります。
原典の「十干所屬方位十二支所屬論」には、天も地も人も土を欠くことはできないという一節があります。原典推命堂でも、戊・己を五行の真ん中で全体を支える文字として扱います。

まとめ
天干は、命式の上の段に並ぶ4つの文字で、十干の10種類から選ばれます。1文字に五行と陰陽が決まっていて、その人の表に出る性質を表します。
原典の字義まで知ると、10文字が一年の中で育つ命の姿に見えてきます。四柱推命の命式は、その10文字から4つを選んだ、あなただけの組み合わせです。
次にすることは、自分の命式を出して、上の段の4文字を確かめることです。まずは日干の1文字の読み方と五行から、ゆっくり眺めてみてください。