- 12の支を2つずつ、人生の6つの段階に分けている
- 辰・巳は30〜40代、午・未は50〜60代と、年齢まで添えている
- 孔子の「三十而立(三十にして立つ)」と重ねて説明している
GENTEN SUIMEIDO JOURNAL
干支と人の一生とは?四柱推命の原典が十二支に重ねた人生の6段階
干支と人の一生とは
干支と人の一生とは、四柱推命の原典『淵海子平』が、十二支の並びを人の一生に重ねた考え方です。12の支を2つずつ6つに区切り、生まれる前から晩年の休息までを順に描いています。『淵海子平』は、宋の徐升の編と伝えられる四柱推命の基本テキストです。
干支は、十干と十二支を組み合わせた60通りの暦の文字です。四柱推命では、生まれた年・月・日・時をすべて干支で表します。原典はこの干支を、ただの番号ではなく「人の一生の出来事のようなもの」だと前置きしています。
しかも原典は、この話に孔子の『論語』まで持ち出します。「三十にして立つ」で知られる、あの一節です。占いの本が、年齢ごとの生き方の言葉と十二支を並べているのが面白いところです。
60通りの組み合わせの仕組みは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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十二支を人生の6つの段階に重ねる
原典の割り当てを表にまとめると、次のとおりです。支の順番が、そのまま人生の順番になっています。
| 支 | 段階 | 物のようす | 人のようす |
|---|---|---|---|
| 子・丑 | 胎 | 根や種の中に隠れている | 母のおなかの中にいる |
| 寅・卯 | 生長 | 殻を割り、花が開きはじめる | 育ち、身を立てようとする |
| 辰・巳 | 立身 | 花が咲きそろう | 30〜40代で身を立てる場を得る |
| 午・未 | 顕現 | 色かたちが整う | 50〜60代で積み重ねが見えてくる |
| 申・酉 | 収成 | 収穫を終える | 身を縮め、静けさを得る |
| 戌・亥 | 帰着 | 気が根へ帰る | 休み、帰り着く場所を得る |
2つずつの組は、陽と陰のペア
6つの段階は、どれも陽の支と陰の支の組です。子が陽で丑が陰、寅が陽で卯が陰という具合です。外へ向かう力と内に向かう力が一組になって、一つの場面を作っています。
誕生ではなく、宿ったところから始まる
目を引くのは、生涯の始まりが誕生ではなく「母のおなかに宿ったとき」になっている点です。子は冬至のころ、地下で小さな陽気が芽生える所とされます。命が形になる前の段階から、人生を数えています。
物と人を並べて描いている
原典は、段階ごとに「物(草木)」と「人」を並べて書いています。種が根の中に隠れ、芽を出し、花を咲かせ、実を収め、気が根へ帰る。草木の一年と人の一生を、同じ6つの場面で描いているのが特徴です。
陰陽のようすも6段階で移っていく
原典は各段の頭に、陰陽のようすも書き添えています。孕む、開く、盛ん、あらわになる、引き締まる、閉ざされるという流れです。
陰陽の気がふくらんで表に出て、また内へ閉じていく。季節の呼吸と人の生涯の呼吸を、同じ言葉で言い表しています。
子丑は胎、辰巳は立身、午未は興衰の見える時
漢文原文
且如子、丑二位者,陰陽始孕,人在胞胎,物藏根核,未有涯際也。寅卯二位者,陰陽漸闢,人漸生長,物以坼甲,羣葩漸剖,如人將有立身也。辰巳二位者,陰陽氣盛,物當華秀,人至三十、四十,而有立身之地,進取之象。午未二位者,陰陽彰露,物色成齊,人至五十、六十,富貴貧賤可知,凡百興衰可見矣。申酉二位者,陰陽肅殺,物已收成,人已龜縮,各得其靜矣。戌亥二位者,陰陽閉塞,物氣歸根,人當休息,各有歸著也。
書き下し文
且つ子・丑の二位の如きは、陰陽始めて孕み、人は胞胎に在り、物は根核に蔵れ、未だ涯際有らざるなり。寅卯の二位は、陰陽漸く闢け、人漸く生長し、物は甲を坼き、群葩漸く剖く、人の将に身を立つること有らんとするが如きなり。辰巳の二位は、陰陽の気盛んに、物は当に華秀なるべく、人は三十・四十に至りて、身を立つるの地有り、進取の象なり。午未の二位は、陰陽彰露し、物色成り斉ひ、人は五十・六十に至りて、富貴貧賤知るべく、凡百の興衰見るべし。申酉の二位は、陰陽粛殺し、物已に収成し、人已に亀縮して、各々其の静を得たり。戌亥の二位は、陰陽閉塞し、物気根に帰し、人は当に休息すべく、各々帰着有るなり。
現代語訳
たとえば子と丑の二つは、陰陽がようやく孕む時期で、人は母の胎内にあり、物は根や種の中に隠れていて、まだ限りというものがない。寅と卯の二つは、陰陽が少しずつ開き、人はしだいに育ち、物は種の殻を割り、多くの花が開きはじめる。人がこれから身を立てようとするようなものだ。辰と巳の二つは、陰陽の気が盛んで、物は咲きそろい、人は三十・四十になって身を立てる場を得る。進み取っていく姿である。午と未の二つは、陰陽があらわに出て、物の色かたちは整い、人は五十・六十になって、富貴か貧賤かが分かり、あらゆることの興りと衰えが見えてくる。申と酉の二つは、陰陽が引き締まり、物はすでに収穫を終え、人も身を縮めて、それぞれの静けさを得る。戌と亥の二つは、陰陽が閉ざされ、物の気は根へ帰り、人は休息すべきときで、それぞれに帰り着く場所がある。
申・酉の段にある「亀縮(きしゅく)」は、亀が首を引っこめるように身を縮めることです。盛りを過ぎた人が、無理に前へ出ず静けさを得る姿を、亀にたとえています。申・酉は、季節でいえば秋の実りのころです。
原典は同じ巻一の別の節で、十二支の一字ずつの意味を草木の一年としても説明しています。同じ12文字を、一年の季節と人の一生の二通りで描いています。字の意味から見た十二支は、こちらの記事でどうぞ。
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論語「三十而立」と十二支の対応
原典はこの6つの段階を、孔子の言葉と重ねて説明しています。『論語』為政篇の、年齢ごとの生き方を語った有名な一節です。
原典は孔子を「宣聖(せんせい)」という尊称で呼んでいます。『論語』の一節は本来、「十有五にして学に志す(十五歳で学問を志す)」から始まります。けれども原典は三十から引いています。
人の一生のありようは、子から亥までに見て取れる
漢文原文
時聖人喻之,亦如人一世之事體也。一世之事者,宣聖所謂三十而立,四十而不惑,五十而知天命,六十而耳順,七十而從心所欲。其甲子之象,自子而至於亥,其理灼然而可見矣。
書き下し文
時に聖人之に喩ふ、亦た人の一世の事体の如きなり。一世の事とは、宣聖の所謂「三十にして立ち、四十にして惑はず、五十にして天命を知り、六十にして耳順ひ、七十にして心の欲する所に従ふ」なり。其の甲子の象、子より亥に至るまで、其の理、灼然として見るべし。
現代語訳
昔の聖人はこれをたとえた。人の一生のありようと同じだというのである。一生の出来事とは、孔子が言った「三十にして立ち、四十にして惑わず、五十にして天命を知り、六十にして耳順い、七十にして心の欲するところに従う」のことだ。六十干支の姿は、子から亥に至るまで、その道理がはっきりと見て取れる。
年齢と支の重なり
孔子の言葉と、原典の6つの段階を並べると次のとおりです。原典が年齢をはっきり書いているのは、辰・巳と午・未の2か所だけです。
| 年齢 | 孔子の言葉 | 重なる支 |
|---|---|---|
| 30 | 三十にして立つ(自分の足で立つ) | 辰・巳(身を立てる場を得る) |
| 40 | 四十にして惑わず(迷わなくなる) | 辰・巳(進み取る姿) |
| 50 | 五十にして天命を知る(自分の役目を知る) | 午・未(積み重ねが見える) |
| 60 | 六十にして耳順う(人の言葉を素直に聞ける) | 午・未(興りと衰えが見える) |
| 70 | 七十にして心に従う(思うままでも道を外れない) | 申・酉以降(原典は年齢を書いていない) |
いちばんきれいに重なるのは50代
「五十にして天命を知る」と「午・未で人生の結果が見えてくる」。この2つは、ほぼ同じことを言っています。花が咲きそろった後、実の色かたちが決まってくる時期です。
その手前の辰・巳は、原典の言葉で「進取の象」、つまり自分から進んで取りにいく姿です。30〜40代を、身を立てる場所を得て攻めに出る時期として描いています。
四柱推命の原典が、占いの理屈を説明するのに儒学の古典を引いている。当時の命理の本が、教養書の書きぶりで書かれていたことがよく分かります。
原典はこの節を、「十二の位の前後さえ押さえれば、六十干支も順に分かる」という一文で結んでいます。今でいえば、入門者への学習のコツです。

十二運と似ている点・違う点
四柱推命には、人の一生になぞらえた12段階がもう一つあります。長生・沐浴・冠帯……と続く十二運です。6つの段階と並べると、発想がよく似ています。
| 干支の6つの段階 | 12段階で近いもの |
|---|---|
| 子・丑=胎 | 胎・養 |
| 寅・卯=生長 | 長生・沐浴 |
| 辰・巳=立身 | 冠帯・臨官 |
| 午・未=顕現 | 帝旺・衰 |
| 申・酉=収成 | 病・死 |
| 戌・亥=帰着 | 墓・絶 |
似ている点:「死」や「墓」の意味が見えてくる
こうして並べると、12段階の「死」「墓」「絶」は、実を収めて根へ帰る段階だと分かります。人の寿命を言い当てる言葉ではありません。収めて、休んで、また宿るという巡りの名前です。
原典自身も、12段階の巡りを「生旺死絶」、つまり気の成長と衰えの話として書いています。人の生き死にを言い当てる表ではありません。
違う点:日干ごとに配当が変わる
一方で、十二運は日干(命式で自分を表す文字)ごとに配当が変わります。たとえば甲の長生は亥、乙の長生は午です。上の表は発想の対応を示したもので、実際の早見表とは別物です。
12段階の意味と調べ方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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「午年生まれは50代に運が来る」という意味ではありません。原典はこの割り当てを、六十干支の節の序文にある一生のたとえとして書いています。鑑定の手順としては使っていません。
原典推命堂の四柱推命では、年齢ごとの運の流れは大運(10年ごと)と流年(1年ごと)で見ます。6つの段階は、干支の並びを覚えるための絵として楽しむものです。
今は学び直しや転職も珍しくなく、身を立てる年齢は人それぞれです。原典の年齢は、当時の標準的な歩みを描いた目安として受け取ってください。
「富貴貧賤が分かる」は当時の人生観
原典は、50〜60代で富貴か貧賤かが分かるとはっきり書いています。人生の長さも暮らし方も、今とは大きく違う時代の見方です。
原典推命堂では、この部分を「それまでの積み重ねが形になって見えやすい時期」と読み替えます。貧賤のような評価の言葉は、鑑定では使いません。
晩年は「終わり」ではなく「休息」
申・酉と戌・亥の段に、原典は「終わる」とは書いていません。書かれているのは、静けさを得る、休む、帰り着く場所があるという言葉です。
しかも亥の次は、また子に戻ります。支は輪になっていて、休みの段のあとには、また宿りの段が巡ってくるという流れです。
生まれる前から数える発想は今も生きている
子・丑を母のおなかの中とする発想は、四柱推命の別の道具にもつながっています。宿った月を表す胎元(生まれる前の柱)です。誕生の瞬間だけでなく、その前の時間も命の一部と見る考え方は、原典から今まで続いています。
胎元の出し方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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まとめ
干支と人の一生は、十二支を「宿る・育つ・立つ・実る・収める・休む」の6場面で読むたとえです。四柱推命で使う12の支が、一冊の人生の絵巻に見えてきます。
次にすることは一つです。自分の命式の地支を並べ、6つの場面のどこの文字かを確かめてみてください。
午・未なら実りの場面、亥なら休息の場面という具合です。十二支の並びが、ぐっと覚えやすくなります。