- 四柱推命の骨組み(日干が自分、生年月日時の8文字)を語る最古級の原典
- 全五巻。基礎→十神と格局→六親と論断→賦・歌訣の順に並ぶ
- いま読めるのは後世の刊本で、複数の本を合わせた編集物
GENTEN SUIMEIDO JOURNAL
淵海子平とは?四柱推命の最古級の原典を、全五巻の中身からやさしく解説
淵海子平とは
『淵海子平(えんかいしへい)』とは、四柱推命の考え方をまとめた最古級のテキストです。宋の徐升の編と伝えられる全五巻の本で、中国の術者に向けた教科書兼手引きとして編まれました。
日干・十神・格局といった四柱推命の道具は、ほぼすべて『淵海子平』に顔を出します。いわば四柱推命の大きな道具箱です。原典推命堂が鑑定の根拠にしているのも、この一冊です。
四柱推命の古典には、ほかに『三命通會』『滴天髓』『子平真詮』などがあります。その中で『淵海子平』は、生まれた日の天干を主とする四柱推命の考え方を、早い時期にまとめた本です。
書名の「淵海」は深い淵と海、「子平」は人の名前です。深い海のように広い、子平先生の術という意味に取れる書名です。
まずここだけ
日干を自分自身とみなし、8文字から人生を読む。この四柱推命の骨組みも、『淵海子平』の中で語られています。四柱推命そのものの仕組みは、こちらの記事で紹介しています。
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淵海子平の全五巻には何が書かれているか
『淵海子平』の中身は、ひと言でいえば道具の作り方→道具の使い方→覚え歌の順に並んだ教科書です。五行と干支の話から始まり、最後は詩の形の口訣で締めくくられます。
| 巻 | 中身 | 代表的な篇 |
|---|---|---|
| 巻一 | 五行と干支の成り立ち、十二運、蔵干、神殺、大運の起こし方 | 論五行所生之始/論日為主/喜忌篇 |
| 巻二 | 十神(正官・七殺・印綬・財・食神・傷官など)の各論と格局 | 繼善篇/正官論/內十八格・外十八格 |
| 巻三 | 六親(父母・配偶者・兄弟・子)、性情、大運と太歳、韻文の論断 | 六親總論/論大運/幽微賦 |
| 巻四 | 賦と歌訣。四言・五言の詩、月ごとの詩訣、十干・十二支の体象詩 | 金玉賦/四言獨步/十干體象 |
| 巻五 | 十神・格局・十二運の詩訣、巻末の総括 | 正官詩訣/論八字撮要法/會要命書說 |
巻一:道具の作り方
巻一は命式を組み立てるための基礎知識の巻です。五行と干支の成り立ちから、十二運・蔵干・神殺・大運の起こし方までが並びます。巻末近くの総論「論日為主」は、日干を主人公に置くと説く篇です。
読み物として面白いのは、巻一の冒頭です。混沌から五行が生まれる話に続き、黄帝と蚩尤の神話から干支の起こりを語ります。
巻二・巻三:道具の使い方
巻二は十神の各論と格局の巻です。正官・七殺・印綬などを一つずつ論じ、命式の型である格局を内外の十八格に分けています。型ごとに、当時の官僚の命式例も添えられています。
巻三は六親と論断の巻です。父母・配偶者・兄弟・子との縁や、大運と太歳の見方が、韻文を交えて語られます。女性の命式や子どもの命式、性格や体の弱いところを論じる篇もここに入ります。
巻四・巻五:覚え歌
巻四・巻五は賦・歌訣、つまり詩の形の口訣が中心です。賦は韻を踏んだ文章、歌訣は覚えやすくした歌のことです。十干を棟梁になる材木や太陽にたとえた「十干體象」の詩も、巻四にあります。
巻五には、十神や格局の要点を七言の歌にした詩訣が続きます。理屈を学んだあと、歌で暗記して現場で使う。『淵海子平』は、そんな術者の学び方に合わせた並びになっています。
巻ごとの目次は、こちらの記事から順にたどれます。
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淵海子平は誰が書いたのか
各巻の巻頭には「宋錢塘東齋徐升編」と刷られています。宋の銭塘(いまの杭州あたり)の人、東斎こと徐升が編んだという意味です。
ただし、これは本自身の名乗りです。編者がどんな人物だったかを記した伝記は、本文にはありません。ですから『淵海子平』は、宋の徐升の編と伝えられる本と紹介するのが正確です。
書名の「子平」は、徐子平という先人の名に由来すると伝えられます。本文は、唐の李虚中が年月日時の干支で命を論じ、宋の時代に子平の説が起こったと語ります。徐子平と編者の関係や李虚中からの流れは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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では本文は、自分の作り手をどう語っているのでしょうか。巻五の最後の篇に、その答えがあります。
『淵海』『淵源』の二書を合わせて一集とする
漢文原文
夫造命書,先賢已窮盡天地精微之蘊而極矣!自唐李虛中一行禪師、宋徐升東齋、明王銓醉醒子諸公,登覽淵海淵源,其理雷同,至矣!盡矣!無非木火土金水之微妙耳。今之後學,加增旨意、口訣;莫非先賢已發之餘意,大同小異。今將海淵二書,合成一集,一覽便知;不必尋究二書之旨,刪繁去簡,永為矜式。
書き下し文
夫れ命書を造るは、先賢已に天地精微の蘊を窮め尽くして極まれり。唐の李虚中・一行禅師、宋の徐升東斎、明の王銓醉醒子の諸公より、淵海・淵源を登覧するに、其の理雷同す。至れり、尽くせり。木火土金水の微妙に非ざるは無きのみ。今の後学、旨意・口訣を加増するも、先賢已に発するの余意に非ざるは莫く、大同小異なり。今、海淵の二書を将て、合はせて一集と成し、一覧すれば便ち知る。二書の旨を尋究するを必せず、繁を刪り簡を去り、永く矜式と為す。
現代語訳
命の書を作ることについては、先人がすでに天地の精妙な奥義を究め尽くしている。唐の李虚中と一行禅師、宋の徐升東斎、明の王銓醉醒子といった方々が『淵海』『淵源』をひもといてみれば、その理は同じで、極まり尽くしている。木火土金水の微妙な働きにほかならない。今の後学が趣旨や口訣を付け加えても、先人がすでに述べたことの余りにすぎず、大同小異である。そこで今、海・淵の二書(『淵海』『淵源』)を合わせて一つの集とし、一目でわかるようにした。二書の趣旨を別々に探す必要はない。煩雑なところを削り、簡略なところを整えて、永く手本とする。
ここには唐の李虚中・一行禅師、宋の徐升、明の王銓と、時代の違う先人が並んでいます。一人の著作ではなく、先人の積み重ねをまとめた本だと、本文自身が名乗っているのです。
すべては木火土金水、つまり五行の働きに尽きる、という言い切りも印象的です。後の人が口訣を足しても「先人の余りにすぎない」と、新説には冷ややかです。

いま読める淵海子平の正体
いま手に取れる『淵海子平』は、20世紀初頭(1920年代)に中国で出た刊本です。刊本とは、版木や活字で刷って出版された本のことです。宋の時代の原本が、そのまま残っているのではありません。
この本は、『子平真詮』という別の本との合冊になっています。原典推命堂は、混同を避けるため『子平真詮』の側を根拠に使っていません。
先ほどの巻五の篇は、『淵海』『淵源』の二書を合わせて一集にしたと述べていました。巻四の「萬金賦」にも「同淵源(淵源と同じ)」の添え書きがあります。『淵源』が別の本だったことがうかがえます。
いまの『淵海子平』は、少なくとも二つの流れが合流した編集物です。そのことを、本文自身が明かしています。
同じ篇には明の王銓の名も出てくるので、この一文は明の時代以降に書かれたものと考えられます。「宋」の編者表示と、本文中の「明」が同居している。ここに、この本の成り立ちの複雑さが表れています。
子平の説は、宋の時代(約900年前)に起こったと伝えられます。それを後の時代の人々が書き継ぎ、まとめ直してきました。いま私たちが読む『淵海子平』は、その長い積み重ねを映した一冊です。
参考
各巻の巻頭題は「評註淵海子平」です。本文の上の欄に、小さな字の注が刷られた版だからです。
原典推命堂は大きな字の本文を中心に採り、上の欄や行間に刷られた小さな字の注は入れていません。本文の中に小さな字で入った注は、一部を本文と区別して残しています。
別の刊本では、巻頭題が「新刊合併官版音義評註淵海子平」と長くなります。「官版」「音義」と売り文句が並ぶところに、当時の出版事情がのぞきます。
版の違いや、本文をどう整えたかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

原典推命堂が淵海子平を底本にする理由
現代の四柱推命は、『淵海子平』だけでできてはいません。『三命通會』『子平真詮』『滴天髓』など、後の時代の書物から入った考え方も多くあります。解説書によって、根拠がまちまちなのが実情です。
四柱推命の解説書どうしで言い切り方が食い違うことがあります。その差は、根拠にしている古典の違いから来る場合があります。『淵海子平』までさかのぼれば、その読み方の出どころを確かめられます。
そこで原典推命堂は、底本を一つに決めて典拠をそろえる方針をとっています。底本とは、引用や解説のよりどころにする本のことです。
鑑定で使う規則は、『淵海子平』に根拠があるものに限る。どの読み方も、原典の篇名までたどれるようにするためです。
原典ではこう扱う
巻一「論日為主」は、干支の関係で命の貴賤や寿命を決めると明言しています。 原典推命堂は、日干を主人公に置き、十神で関係を見る骨格はそのまま採ります。一方で、寿命・病・貧富を断定する使い方は採りません。
原典の書き方と現代の鑑定との違いは、こちらの記事にまとめています。

まとめ
『淵海子平』は、先人の積み重ねを一つにまとめた、深い海のような原典です。いま読めるのは後世の刊本ですが、日干を主人公に置く考え方は、ここにはっきり書かれています。
次にすることは、自分の日干を知ることです。自分の命式で確かめたい方は、無料鑑定で8文字を出してみてください。