GENTEN SUIMEIDO JOURNAL
四柱推命の「原典にない星」とは?紅艶・孤辰寡宿など現代の星と原典の違い
四柱推命の原典にない星とは
四柱推命の原典にない星とは、現代の特殊星の一覧にあるのに、古典で出し方が確かめられない星です。ここでいう古典は、四柱推命の基本書『淵海子平』を指します。紅艶・孤辰・寡宿・血刃などが、その代表です。
特殊星とは、命式の干支の決まった組み合わせに名前をつけた星で、昔は神殺(しんさつ)と呼ばれました。命式は、生まれた年・月・日・時刻を干支の8文字に置き換えた表です。
四柱推命の鑑定サイトやアプリでは、神殺の一覧に数十の星が並ぶことがあります。けれども、そのうちどれが古典に載っているのかは、一覧を見ただけではわかりません。
全文を検索してわかったこと
原典推命堂は、底本とする『淵海子平』巻一〜巻五の本文を全文検索しました。四柱推命の神殺の名前を語の完全一致で一つずつ探し、結果を三つの層に分けています。
| 層 | 古典での様子 | 例 |
|---|---|---|
| 出し方がある | 成立の条件を書いた篇がある | 天乙貴人・駅馬・華蓋 |
| 名前だけある | 評価の文に名前は出るが、出し方がない | 咸池・孤辰・白虎 |
| 一度も出てこない | 語そのものが0件 | 文昌貴人・紅艶・血刃 |
この記事で扱うのは、下の二つ、「名前だけ」と「0件」の星です。出し方まで古典にある星は三十数種で、長い一覧の半分に届きません。
特殊星全体のしくみは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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代表的な原典にない星
四柱推命の神殺の一覧に載ることのある星を、いくつか取り上げます。名前の印象と、古典での実際の姿がかなり違うのが面白いところです。
紅艶:名前すら原典にない星
紅艶(こうえん)は、異性を引きつける魅力や華やかさの星として紹介されることがあります。現代の解説書では、日干ごとに決まった地支で出す方法が紹介されています。
ところが、古典の巻一〜巻五に、この二文字は一度も出てきません。出し方どころか、名前そのものがない星です。
孤辰・寡宿:名前だけが出てくる星
孤辰(こしん)と寡宿(かしゅく)は、十二支を季節ごとの四つの組に分け、組の前後の支に置く星です。名前の印象から、孤独や縁の薄さと結びつけて説明されることがあります。
『淵海子平』には、孤辰が2回、寡宿が5回出てきます。ただし、どの支ならその星になるのかという出し方は、どこにも書かれていません。
名前の出どころの一つは、巻五に収められた『珞琭子消息賦』という古い賦(ふ:韻を踏んだ文章)です。編者が定めた星ではなく、引用した文章に元から入っていた名前と考えられます。
血刃:物騒な名前でも、古典では0件
血刃(けつじん)は、字面からけがや争いを連想させる星です。けれども、古典の中では一度も出てこない語でした。
よく似た名前の羊刃は、出し方の篇が古典にある星です。刃の字が同じでも、出どころはまったく別だと覚えておくと、名前に振り回されずに済みます。
天喜のような星も、検索すると0件でした。名前が物騒でも華やかでも、それだけで古典の星とは限りません。
同じ名前でも中身が違う:將星
逆に、名前は古典にあるのに、中身が現代と違う星もあります。將星(しょうせい)がその例です。
現代の四柱推命では、將星は三合(3つの支の結びつき)の中心の支を指します。ところが巻一の表の注記では、偏官・七殺の別名として將星の名が挙がっています。名前が一致していても、同じ星とは限らないのです。
文昌貴人と咸池は、それぞれ事情が違う
文昌貴人も、名前が一度も出てこない星です。一方の咸池(桃花)は、名前も評価も原典にあるのに、出し方だけが欠けている星です。それぞれの事情は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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なぜ原典にない星が増えたのか
結論から言うと、四柱推命の特殊星は一つの体系から生まれたのではなく、時代ごとに足されてきました。星が増えた道筋は、大きく三つあります。
後の時代の書物で整えられた
後の時代には、明代の『三命通會』のような大部の書も編まれました。名前すらない星の多くは、こうした後の時代の書物で整えられ、神殺の一覧に加わったと考えられます。
暦の吉凶や別の占いから流れ込んだ
神殺の出どころは、暦に書き込まれた日々の吉凶、別の系統の占い、道教の神々などさまざまです。たとえば喪門や白虎は、その年の干支から吉凶を見る暦の体系に属する名前です。
賦の文体が名前を増やした
賦は、韻を踏んで暗記するための文体です。内容よりリズムが先に立つので、星の名前だけが並ぶ句が生まれやすい性質があります。
凶殺の名前が多いほど、よく当たるように見える。賦の書き方には、そんな効果もあったと読めます。現代の神殺の一覧が長くなりがちなのも、同じ力が働いているのかもしれません。
星が増えると、命式は読みにくくなる
一覧の星が増えるほど、一つの命式に付く特殊星の数も増えていきます。同じ命式に吉星と凶星が十個以上並ぶと、どれを重く見ればよいのか迷ってしまいます。
しかも、それぞれの星は出どころも、成立の根拠もばらばらです。特殊星を増やせば「当たっている感じ」は増します。けれども、どの星が何を根拠に立っているのかは説明しにくくなります。

原典『淵海子平』は名前を並べるだけだった
では、名前だけの星は本文にどう出てくるのか。典型的なのが、巻三で大運(10年ごとの運)の見方を語る一節です。
諸々の殺を合わせて推せば、その的中は神業のよう
漢文原文
更兼孤害、空亡、勾絞、喪門、弔客、宅墓、病、死、官符、白虎諸殺推之,其驗如神。
書き下し文
更に孤害・空亡・勾絞・喪門・弔客・宅墓・病・死・官符・白虎の諸殺を兼ねて之を推せば、其の験、神の如し。
現代語訳
さらに孤害・空亡・勾絞・喪門・弔客・宅墓・病・死・官符・白虎といった諸々の殺を合わせて推せば、その的中は神業のようである。
十の凶殺の名前を並べ、「其驗如神(的中は神業のよう)」と効果を誇っています。それなのに、この一節ではどれ一つとして出し方を書いていません。
出し方は読者任せ、という書き方です。編者にとってこれらは、読者がすでに知っている前提の名前だったのでしょう。
同じ本の中にも層がある面白いのは、同じ本の中で書き方が分かれていることです。巻一には、成立の表を持つ星が篇ごとに整然と並んでいます。一方で巻三〜巻五の賦には、表のない星の名前が飛び交っています。
この本がどんな構成で編まれているかは、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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原典推命堂は原典にない星をどう扱うか
古典の立場:出し方の決着をつけていない
古典は、名前だけの星に出し方を書かず、決着をつけていません。0件の星にいたっては、語そのものがありません。
そこで原典推命堂は、古典に出し方がある星を採用し、ない星は判定しません。
使うことが間違いというわけではない
後の時代に整えられた星にも、長い運用の積み重ねがあります。そうした星を使う四柱推命の流派が、誤っているという話ではありません。
気をつけたいのは、「古典に基づく」と言いながら、出どころを示さないことです。原典推命堂は底本を一冊に決めているので、その底本に出し方のない星を「古典の星」として並べません。
咸池だけは方針として採用
名前だけの星の中で、この星だけは原典推命堂が採用しています。本文に名前と評価が多く出てくること、出し方が近現代でほぼ一つに定まっていることが理由です。そのぶん、「当サイトの方針」と明示しています。
当サイトの無料鑑定での表示
当サイトの無料鑑定では、この記事で取り上げた星は表示しません。表示する特殊星は10星で、咸池を除く9星は古典に出し方がある星です。自分の命式で確かめたい方は、無料鑑定で命式を出してみてください。
注意
古い賦には、こうした星の名前とあわせて、肉親との別れや結婚についての強い断定も出てきます。
これは当時の家制度を前提にした言葉です。原典推命堂の四柱推命の鑑定では、こうした断定は使いません。
古典と現代の四柱推命の違いは、星のほかにもあります。全体の違いは、こちらの記事で詳しく紹介しています。

まとめ
星の数より、一つひとつの星の出どころ。原典にない星を知ると、四柱推命の神殺の一覧の見え方が変わってきます。
次に自分の命式で特殊星を見かけたら、その星が古典に出し方を持つ星かどうかを確かめてみてください。名前の強さに振り回されず、根拠のある星から読むのが、原典推命堂のおすすめです。