本文へスキップ
原典推命堂原典をひもとく、四柱推命の読みもの
読みもの 記事

GENTEN SUIMEIDO JOURNAL

四柱推命の食神制殺と殺印相生とは?七殺を活かす2つの形を原典から

白黒の陰陽が組み合わさった太極図

七殺の2つの使い方とは

食神制殺(しょくじんせいさつ)と殺印相生(さついんそうせい)は、七殺を活かす 2 つの形です。食神で抑えるのが食神制殺、印綬を通して力に変えるのが殺印相生です。

七殺とは、十神の一つ偏官の別名です。日干(命式の中のあなた自身)を、陰陽が同じ五行が剋す関係を指します。外からの圧力や緊張、厳しい要求を表す星です。

名前が物騒なので、凶星と思われがちな星です。けれども原典『淵海子平』は、この星を見てもすぐに凶と言ってはならないと繰り返し書いています。

まずここだけ

2 つの形は、どちらも圧力を消すのではなく、役立てる発想です。正面から抑え込むか、受け流して力に変えるか。四柱推命での扱い方は、大きくこの 2 通りに分かれます。

偏官と七殺は、同じ星の 2 つの名前

原典は、抑えが利いている状態を偏官、抑えがない状態を七殺と呼び分けています。同じ文字でも、扱い方次第で名前が変わる星です。食神制殺と殺印相生は、七殺を偏官に変える方法とも言い換えられます。

この星そのものの性質は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

あわせて読みたい
切り株の上から鋭くこちらを見据える虎
四柱推命の偏官とは?性格・才能と命式での読み方を原典『淵海子平』から

四柱推命の偏官とは 偏官(へんかん)とは、四柱推命の十神(通変星)の一つで、日干を剋す星のうち陰陽が同じものです。剋すとは「抑える」という意味で、日干はあなた自身を表す文字です。 たとえば甲の日干にと ...

続きを見る

線香から細く立ちのぼる白い煙

食神制殺:圧力を正面から抑える形

食神制殺とは、食神が殺の星を剋して抑える形です。食神は日干が生む五行で、陰陽が同じ星です。表現や余裕、才能の出しどころを表します。

甲の日干で見る食神制殺

甲(木)の日干なら、七殺は庚(金)、食神は丙(火)です。火は金を溶かすので、丙が庚を抑えます。これが食神制殺の形です。

たとえるなら、荒れ馬に手綱をかけて乗りこなすような形です。荒々しい星が、抑えがあることで権威や実行力として働きます。

現代の四柱推命では、圧力の大きい場面を、表現や企画、成果物で捌く型と見ます。自分の出しどころがあるので、圧力に飲まれにくい人です。

食神の持ち味は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

あわせて読みたい
赤い円卓いっぱいに並んだ中華料理
四柱推命の食神とは?性格・才能と命式での読み方を原典『淵海子平』から

四柱推命の食神とは 四柱推命の食神(しょくじん)とは、日干が生む五行のうち、陰陽が同じ干に付く十神の名前です。日干は命式の「自分」を表す文字で、十神は日本では通変星とも呼ばれます。 たとえば日干が甲( ...

続きを見る

食神は先、殺は後

原典の巻五「食神詩訣」は、並び順にまで触れています。食神が先にあって殺が後にあれば、衣食に一生恵まれる、というのです。

反対に、殺が食神のすぐ近くにあると、かえって災いがあるとも書きます。食神制殺は、あるかないかだけでなく、位置関係まで見る形です。

食神制殺には、原典がつけた釘がもう一つあります。抑えすぎてもいけないという戒めで、後の原典の節で紹介します。

古い器の底に押された篆書の印

殺印相生:圧力を力に変える形

殺印相生とは、七殺が印綬を生み、印綬が日干を生む形です。印綬は日干を生む五行で、学びや後ろ盾、支えを表します。圧力が、印綬を通って自分の力に変わる流れです。

甲の日干で見る殺印相生

同じ甲の日干で見てみます。庚(金)は、印綬の癸(水)を生みます。そして癸は、甲(木)を生みます。

  1. 殺の庚(金)が、印の癸(水)を生む
  2. 癸(水)が、日干の甲(木)を生む

同じ庚が、丙に抑えられる道と、癸を経て力になる道の両方を持っています。どちらの道が開いているかで、この星の働き方が変わります。

現代の四柱推命では、厳しい環境が実力や後ろ盾を育てる型と見ます。圧力を学びに変えて、少しずつ地位を固めていく人です。

印綬の持ち味は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

あわせて読みたい
漢字が刻まれた石の印章と朱色の印影
四柱推命の印綬とは?性格・才能と命式での読み方を原典『淵海子平』から

四柱推命の印綬とは 四柱推命の印綬(いんじゅ)とは、十神の一つで、日干を生かしてくれる星です。五行で日干を生む干のうち、日干と陰陽が違うものを印綬と呼びます。 たとえば日干が甲(陽の木)なら、印綬は癸 ...

続きを見る

圧力があってこそ、支えが形になる

原典の巻五「印綬詩訣」は、印の星が重なっていても官がなければ、技芸の人として見ると書いています。支えだけでは、地位や役目という形にならないという見立てです。

裏返せば、圧力があるからこそ、学びや後ろ盾が生きてくるということです。殺印相生は、この考え方をいちばん素直に表した形です。

敵は財の星

殺印相生の弱点は、財の星です。財は印を壊し、しかも殺を生んで圧力を強めます。原典も、印綬は財を恐れるとはっきり書いています。

ポイント

食神制殺は「抑えて使う」、殺印相生は「受け流して変える」。

どちらも、圧力の星を消さずに役立てるための形です。

古い鉄の天秤ばかりに載せた草の束と分銅

食神制殺と殺印相生、どちらが向くか

四柱推命でどちらの形が生きるかは、日干の強さ(身旺・身弱)で変わります。原典は、偏官は日干が強いことを最も喜ぶと書いています。

身旺なら食神制殺

日干が強い身旺の人は、食神で圧力を押し返す力があります。食神は日干の力を外へ出す星なので、余裕があるほど働きます。正面から圧力に向き合う食神制殺が生きやすい形です。

身弱なら殺印相生

日干が弱い身弱の人は、力を外へ出すとさらに消耗します。そこで生きるのが、印が日干を助ける殺印相生です。圧力を、そのまま支えに変えられます。

この振り分けは、原典の明文ではありません。「七殺は身旺を喜ぶ」「印は日干を生む」という原典の記述から、原典推命堂が整理した目安です。

身旺・身弱の判断の仕方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。

あわせて読みたい
緑を背に積み上げられた黒い石
四柱推命の身旺・身弱とは?日干の強さの判断方法と、それぞれの性格・生かし方

四柱推命の身旺・身弱とは 身旺(しんおう)・身弱(しんじゃく)とは、命式の中で「自分」がどれだけ力を持つかを表す言葉です。四柱推命では、自分を助ける要素が多ければ身旺、力を使わせる要素が多ければ身弱と ...

続きを見る

原典が挙げるもう一つの道:合で引き取る

巻二「論七殺」は、抑えるほかに、干合(天干どうしが結びつくこと)で殺を引き取る形も挙げています。甲の日干なら、乙が庚と合を結んで庚の勢いを鈍らせる形です。

原典はこれを「合を貪りて殺を忘る」と呼びました。本来の働きを忘れるのは普通なら困りものですが、相手が殺なら好都合という逆転です。四柱推命の組み合わせには、こうした発想の転換がいくつもあります。

先に命式を出すと早い

殺・食神・印の 3 つがどこにあるかは、天干と蔵干の十神を並べると見えてきます。自分の命式で確かめたい方は、無料鑑定で十神まで出してみてください。

偏官と正官が両方ある形は、また別の読み方をします。こちらの記事でどうぞ。

あわせて読みたい
墨で書かれた漢字を指でなぞる手元
四柱推命の官殺混雑とは?正官と偏官が混ざる命式の意味を原典から

四柱推命の官殺混雑とは 官殺混雑(かんさつこんざつ)とは、命式に正官と偏官(七殺)が両方ある形です。四柱推命の十神のうち、どちらも日干(自分)を剋す、つまり抑える星にあたります。 正官は責任感と信用、 ...

続きを見る

筆で漢字を書いた手習いの紙と筆

原典『淵海子平』は「抑えすぎるな」と書いた

原典『淵海子平』巻二「論偏官」は、偏官を虎を抱いて眠るようなものにたとえた篇です。虎のたとえは偏官の記事に譲り、ここでは抑え方の加減を書いた一節を紹介します。

原典『淵海子平』巻二「論偏官(即七殺)」(YHE-J2-005)

法を尽くして法無し

漢文原文

如有一煞,而制伏有二三,復行制伏之運,反不作福。何以言之?蓋盡法無法,雖猛如狼,不能制伏矣,是又不可專言制伏。要須輕重得所,不可太甚,亦不可不及,須仔細審詳而言,則禍福如影響矣。 大抵傷官七煞,最喜身旺,有制伏為妙。元有制伏,可行殺旺之方;元無制伏,可行制伏之運。身旺化之得為偏官,身弱無制伏則為七煞。

書き下し文

如し一煞有りて、制伏するもの二三有り、復た制伏の運を行けば、反つて福と作さず。何を以て之を言ふや。蓋し法を尽くして法無ければ、狼の如く猛しと雖も、制伏する能はず。是れ又専ら制伏を言ふべからず。要は須らく軽重、所を得べく、太甚なるべからず、亦た不及なるべからず。須らく仔細に審詳して言ふべく、則ち禍福は影響の如し。
大抵、傷官・七殺は、最も身旺を喜び、制伏有るを妙と為す。元と制伏有らば、殺旺の方を行くべし。元と制伏無くんば、制伏の運を行くべし。身旺にして之を化すれば偏官と為るを得、身弱くして制伏無ければ則ち七殺と為す。

現代語訳

もし七殺が一つなのに、抑えるものが二つ三つあり、さらに抑える運を行けば、かえって福にならない。なぜか。抑える手立てを使い尽くすと、かえって手立てが無くなる。狼のように猛々しくても、抑えきることはできない。だから抑えることばかりを言ってはいけない。軽重が適切であることが必要で、行きすぎてもいけないし、足りなくてもいけない。細かく詳しく見きわめて述べるべきで、そうすれば禍福は影が形に添い響きが音に応じるように読める。
おおよそ傷官と七殺は、日干が強いのを最も喜び、抑えるものがあるのがよい。もともと抑えるものがあれば、殺の旺じる方へ運が進んでよい。もともと抑えるものがなければ、抑える運を行けばよい。日干が強くてそれを変化させられれば偏官となり、日干が弱く抑えがなければ七殺となる。

「法を尽くして法無し」は、抑える手立てを使い尽くすと、かえって手立てが無くなる、という意味です。殺が一つなのに抑える星が二つ三つあれば、かえって福にならないと原典は言います。

抑えすぎると、殺の星が持っていた勢いまで消えてしまいます。四柱推命の食神制殺は、食神が多いほどよい形ではありません。

後半は、命式と運の釣り合いを見よという処方です。命式に抑えがあれば殺の強まる運を、なければ抑えの運を待てばよい、というのです。

「凶を禁じ殺を制す」と「官鬼は能く我を生ず」

巻五「食神詩訣」には、「凶を禁じ殺を制して干頭旺ずれば、此れは是れ人間の富貴児」という句があります。食神の詩の中で、凶を防いで殺を抑え、天干に勢いがあれば、世の富貴な人になると詠んでいます。

巻二「論印綬」は、「官鬼は能く我を生ず」と書きます。官鬼とは官と殺の星をまとめた呼び名です。ここでの「我」は印綬のことで、官殺は印を生むという意味です。これが殺印相生の理屈そのものです。

石灯籠の間を鳥居へ上る山の石段

原典と現代の七殺、ここが違う

凶星とは見ない

現代の解説には、七殺を苦労の多い凶星として紹介するものもあります。原典は巻二「論偏官」「論七殺」で「すぐに凶と言ってはならない」と明言しています。正官より偏官のほうが、大富豪や高位の人が多いとまで書きました。ただし、よいのは日干が強く、殺を合で結ぶ形に限る、とも添えています。

原典推命堂も、この星を災いの予告には使いません。扱い方次第で権威と実行力の星になる、という原典の立場にならっています。

「傷官制殺」という呼び分けは原典にない

現代では、傷官で抑える形を「傷官制殺」と呼び分ける流派もあります。原典は食神と傷官を別の節で書き分けますが、抑え役としては呼び分けず、傷官と七殺を並べて論じています。原典推命堂も、食神でも傷官でも抑えが利いているかを見ます。

形の名前より、釣り合いを見る

四柱推命の食神制殺や殺印相生は、良い命式・悪い命式の判定ではありません。原典は抑えすぎも足りなさも戒め、軽重がちょうどよいことを求めています。

四柱推命でこの星を見るときは、抑える星と支える星、そして日干の強さの釣り合いに目を向けてください。そこに、自分の圧力の生かし方が見えてきます。


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA