- 冒頭の総則:繼善篇と看命入式
- 一つひとつの星の各論と、日柱の特別な形
- 内十八格:生まれ月を軸にした型など
- 外十八格:五行がそろう形など
GENTEN SUIMEIDO JOURNAL
淵海子平の巻二には何がある?十神の使い方と36の格局を目次から案内
淵海子平の巻二とは
『淵海子平』巻二は、十神の使い方と、36の格局をまとめた巻です。『淵海子平』は宋の徐升の編と伝えられる全五巻の原典で、その2冊目にあたります。
巻一が四柱推命の道具の作り方なら、この巻は道具の使い方です。十神とは、日干から見たほかの文字との関係を、印綬・食神・傷官などの10の名前で表したものです。格局とは、命式全体の型のことです。
現代の四柱推命で使う「印綬格」「炎上格」といった格局の名前は、多くがこの巻に出てきます。格局の話をたどると、行き着く先の一つが『淵海子平』の巻二です。
この巻には70の篇が並んでいます。篇とは、一つの話題をまとめた章のことです。目次は、大きく次の4つに分かれます。
巻二の目次は4つのまとまり
型を論じる篇には、当時の官僚の生年月日時が実名つきで並んでいます。これが巻二のいちばんの見どころです。一つ前の巻一の目次は、こちらの記事でたどっています。
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淵海子平の巻一には何がある?目次をたどって四柱推命の道具の作り方を知る
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巻二の冒頭:繼善篇と看命入式
最初の「繼善篇」は、四柱推命の総則を対句で並べた名文です。巻一の最後の「喜忌篇」と対になる長文です。
人は天地に稟け、命は陰陽に属す
漢文原文
人稟天地,命屬陰陽,生居覆載之內,盡在五行之中。 欲知貴賤,先觀月令乃提綱,次斷吉凶。 專用日干為主本;三元要成格局,四柱喜見財官。 用神不可損傷。 日主最宜健旺。
書き下し文
人は天地に稟け、命は陰陽に属し、生まれて覆載の内に居り、尽く五行の中に在り。貴賤を知らんと欲せば、先づ月令を観る、乃ち提綱なり、次に吉凶を断ず。専ら日干を用ゐて主本と為す。三元は格局を成すを要し、四柱は財官を見るを喜ぶ。用神は損傷すべからず。日主は最も宜しく健旺なるべし。
現代語訳
人は天地から生まれ、命は陰陽に属し、天地の間に生きて、すべて五行の中にある。貴賤を知りたければ、まず月令を見る。それが提綱(総綱)であり、次に吉凶を判断する。もっぱら日干を主とする。天地人の三元で格局を作り、四柱に財官があることを喜ぶ。用神を傷つけてはいけない。日主は健やかで旺盛なのが最もよい。
「人は天地から生まれ、すべて五行の中にある」。繼善篇は、四柱推命の宣言文のような一文から始まります。
続いて、まず月令を見る、日干を主とする、用神を傷つけないと、原則が短い句で次々に並びます。月令とは生まれ月の地支、用神とは命式の釣り合いを取る要の文字のことです。現代の四柱推命の入門書に並ぶ原則が、冒頭の数行に詰まっています。
看命入式:八文字の読み方の型
次の「看命入式」は、八文字をどう読むかの型を示します。年は根で祖先、月は苗で父母、日干は自分、時は花と実で子とします。
年の柱からは家の盛衰を、月の柱からは親の支えの有無を知る、と続きます。巻一の「根・苗・花・果」のたとえを、家族の続柄に当てはめた読み方です。
日の地支は「妻妾」とされていますが、これは当時の家制度に沿った役割の決め方です。現代ではパートナーと読み替えて使います。
看命入式は、型に固執して臨機応変を忘れてはいけないという一言で締めくくられます。型を示したすぐあとに、型に縛られるなと戒めているのです。

巻二の中盤:十神の各論
総則のあとは、10の星を一つずつ論じる篇が続きます。並びは次のとおりです。
- 正官と、官星が多すぎる場合
- 偏官と七殺(同じ星を2つの篇で論じる)
- 印綬・正財・偏財
- 食神・倒食(偏印の別名)・傷官
- 劫財・羊刃・刑と合が重なる形
面白いのは、偏官と七殺が別々の篇で続けて論じられていることです。同じ星を二度扱うのは、別々の流れの文章が一冊に合わさった跡とも考えられます。
「論偏官」には、漢の思想家・揚雄の「御し方を心得れば、おとなしく従う」という言葉が引かれています。荒々しい七殺を、扱い方次第で役に立つものとして描いているのです。
「論印綬」には、官星があっても印綬がなければ本当の官ではないという一文もあります。星どうしの組み合わせで働きが決まる、という四柱推命らしい考え方です。10の星の名前と出し方は、こちらの記事で紹介しています。
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四柱推命の十神(通変星)とは?正官・傷官など10の星の意味と決まり方
四柱推命の十神とは 四柱推命の十神(じっしん)とは、日干から見たほかの天干との関係に付けた10の名前です。日本では通変星(つうへんせい)とも呼ばれます。正官・偏官・印綬・偏印・正財・偏財・食神・傷官・ ...
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「すぐに凶と言うな」
「論七殺」と「論羊刃」には、「すぐに凶と言ってはいけない」という同じ趣旨の一文があります。どちらも怖い名前の星ですが、抑える力や身の強さ次第で働きが変わると説いています。
「論羊刃」は、陽の天干だけに刃があると定義しています。ところが巻一には、十干すべてに羊刃を割り当てた篇があります。同じ原典の中で食い違っているのです。
原典推命堂は、巻二のこの定義を採用しています。羊刃の出し方と読み方は、こちらの記事で詳しく紹介しています。
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四柱推命の羊刃とは?強さの星の意味と出し方、原典が陽干だけに置いた理由
四柱推命の羊刃とは 四柱推命の羊刃(ようじん)とは、日干の勢いが頂点に達した地支に立つ、強さの特殊星です。日干は生まれた日の天干で、命式の主人公にあたる文字です。その日干がもっとも盛んになる地支が命式 ...
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十神のあとには、魁罡や日貴のように、日柱の干支だけで決まる特別な形を論じる篇も並びます。生まれた日の干支が特定の組み合わせのとき、それだけで特徴のある命とみなす考え方です。

内十八格・外十八格:36の格局
巻二の後半は、格局の篇です。内十八格と外十八格の二つに分けて並べられています。名前のうえでは合わせて36の型です。ただし実際の見出しの数は、内が24、外が21で、ちょうど18ずつにはなっていません。
格局が決まると、その命式が何を喜び、何を嫌うかが見えてきます。繼善篇が「三元で格局を作る」と書いたのは、この型のことです。四柱推命の鑑定で格局が重んじられてきたのは、そのためです。
内十八格
内十八格の最初は正官格です。生まれ月に官星がある形を、型の筆頭に置いています。
続いて、生まれ月の財や官を軸にした格局が並びます。時柱に偏財や七殺が一つだけある形も、独立した格局として立てられています。
その間に、命式にない星を呼び寄せると考える特殊な格局も混ざります。飛天祿馬格のように、名前からして華やかな型です。
外十八格
外十八格には、一つの五行にそろう5つの形が入っています。火にそろう炎上格、水にそろう潤下格などです。命式の文字が一つの五行に偏ると、それを一つの型として立てるのが面白いところです。
ほかに、財や殺に身をゆだねる「従う」形も並びます。巻二の最後は、干支がきれいに整った形で締めくくられます。
原典ではこう扱う
現代の四柱推命の解説書では、生まれ月を軸にした型が中心で、特殊な型は扱わないことも多くあります。 原典の巻二は、36の型を内と外に分けて、どれも同じように並べています。原典推命堂は、格局を鑑定の主軸にはせず、日干と十神の関係を中心に読んでいます。
自分の生まれ月にどんな星があるかは、無料鑑定で確かめられます。

格局の篇に並ぶ官僚たちの命式
巻二を開いて驚くのは、型の説明のあとに、実在したらしい官僚の命式が表で並んでいることです。いわば当時の実例集です。
月柱に官星がある者、これが正官格
漢文原文
月上有官星者是也。時上兼有財星者,真貴人也。怕沖,忌見傷官七殺,大運亦然。喜印殺,喜身旺,喜財星,歲運同。官星宜露,豈可藏之。
書き下し文
月上に官星有る者是れなり。時上に兼ねて財星有る者は、真の貴人なり。沖を怕れ、傷官・七殺を見るを忌む、大運も亦た然り。印殺を喜び、身旺を喜び、財星を喜ぶ、歳運も同じ。官星は宜しく露はるべし、豈に之を蔵すべけんや。
現代語訳
月柱に官星があるものが正官格。時柱に財星も兼ねていれば本当の貴人。沖を恐れ、傷官・七殺を見るのを嫌う。大運も同じ。印殺・身旺・財星を喜ぶ(「印殺」は原文のまま。直前で七殺を嫌うので、意味は取りにくい)。官星は天干に現れるのがよく、隠れていてはいけない。
この説明のすぐあとに、例が続きます。そのうち3人を挙げると次のとおりです。
| 例の名前 | 年柱 | 月柱 | 日柱 | 時柱 |
|---|---|---|---|---|
| 王知府 | 乙未 | 乙酉 | 甲子 | 丙寅 |
| 金丞相 | 乙卯 | 戊子 | 丙子 | 庚寅 |
| 薛相公 | 甲子 | 壬申 | 乙巳 | 戊寅 |
知府は州の長官、丞相は皇帝を補佐する最高位の大臣です。王知府は甲の日の生まれで、生まれ月の酉に辛が隠れています。甲から見た辛は、正官にあたります。
説明の条件どおりの八文字を、実例として示しているのです。理屈だけでなく、「この人がそうだ」と見せるところに、当時の術者の教え方がうかがえます。正官という星そのものの意味は、こちらの記事で紹介しています。
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四柱推命の正官とは?性格・才能と命式での読み方を原典『淵海子平』から
四柱推命の正官とは 正官(せいかん)とは、四柱推命の十神(通変星)の一つで、日干を剋す星のうち陰陽が違うものです。剋すとは「抑える」という意味です。日干は命式の日柱の上の文字で、あなた自身を表します。 ...
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ほかの型にも、李丞相や詹丞相、侍郎や尚書といった肩書が並びます。帖木丞相のように、漢人らしくない名も混じっています。どの時代の誰なのかは、原典の本文からは特定できません。
実例に官僚が多いところから、当時の四柱推命の関心が、出世や身分の行方にあったことがうかがえます。『淵海子平』の実例は、その時代の空気をそのまま映しています。原典に載る命式の実例は、こちらの記事でさらに詳しく読んでいます。
巻二の次の巻三は、六親と論断の巻です。その目次は、こちらの記事でたどっています。

まとめ
『淵海子平』の巻二は、総則で読み方の型を示し、十神を論じ、36の型を官僚の実例で見せる巻です。四柱推命の理屈と実例が、一冊の中に並んでいます。
次にすることは、自分の生まれ月に何の星があるかを確かめることです。原典の官僚たちと同じ見方で、自分の八文字を眺めてみてください。